2017.03.29 扇屋鴨せいろ
扇屋の蕎麦は以前も書き込みしていますが、
黒い粒まじりが特徴で、蕎麦の黒い粒は蕎麦の外側の皮、つまり殻です。
殻を少し加えた田舎蕎麦が、鴨汁に合うわけです。
扇屋_500


玄蕎麦は皮が二重になっています。
玄蕎麦の黒い皮の殻を剥ぐと、中の薄い甘皮の蕎麦が現れます。
蕎麦屋でも製粉所でも製粉方法がそれぞれ違い、また表現も異なります。

玄蕎麦の中心なほど白い色で細かく砕け、それが更科粉となるわけですが、ここでも蕎麦屋、製粉所によって方法が違い、いったん外側まで丸々粉にして、目の細かい網で落として一番粉としたり、荒挽きして細かく砕けた中心部分だけ更に細かな網で通して一番粉したりと、更科粉でも仕上げが異なるわけです。更に2番粉、3番粉と製粉して、その配合を特徴に売り込みます。

鮮度の良い蕎麦はざるの上でも鶯色となりますが、それは緑色の薄い甘皮が入るためで、緑色がさめて甘皮が茶色になった玄蕎麦は、いくら丁寧に扱っても鶯色の蕎麦には仕上がらないわけです。
神田の老舗蕎麦屋では色添加を公表していますが、それはそれで蕎麦の特徴で、お客はその色も含めて蕎麦を楽しむわけです。

ただ、その生の鶯色にこだわることも魅力が大きいのです。
鶯色を保つ作業は栽培から始まります。畑の土壌状態から生育状況、茎の赤い状態をつくるための日当たりと風通し、重要となる刈り取り適期。
その後の乾燥作業、保管方法でも緑色が変色します。
こだわる蕎麦屋さんが1年分の玄蕎麦を自分で冷蔵管理するのはそのためです。近くは板柳むらかみですね。
そして、殻の汚れ雑菌を落とすのが“磨き”という作業で、専用の機械を使います。
この先の作業からは、鮮度を保つため、つまり鶯色の蕎麦に仕上げるために出来るだけ蕎麦打ちまでの時間を短くします。
殻をむく脱皮作業も専用の機械となりますが、一度の通しで全ての蕎麦の殻は剥けません。玄蕎麦の大きさを分別しながら殻を剥くので、網を変えながら何度も通します。どうしても黒い殻付きの玄蕎麦が残る為、最後は手作業にこだわる蕎麦屋も多いです。
その殻付きの蕎麦が少しでもまじると、打った蕎麦に黒い粒が入ります。

わざと黒い粒を後で足す方法もありますから、その店の特徴となるわけす。
扇屋は黒い粒にこだわっていますが、板柳むらかみ、青森会心、しもばしらは徹底して取り除くことにこだわっている筈です。たいへん面倒な作業です。

脱皮しない殻付きのまま挽く挽きぐるみは、田舎蕎麦と言ったりしますが、挽いた後で網にかけて殻を除くので黒い蕎麦で黒い殻もまじりますね。板蕎麦はそれが人気です。
いずれも食べる方は好みで分れます。一番粉の白い更科を好む方もいるわけですから。

私がだいぶ以前ですが、蕎麦の栽培と、川倉の蕎麦加工施設を利用しての製粉などから学んだことを少し書き込みました。


そして、今朝岩木山は望めませんでした。

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