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2014.05.01
芦野公園駅改札
桜満開の芦野公園駅です。

芦野公園駅、小説津軽で、太宰がタケの居る小泊へ向かう途中で、とても印象的な場面があります。
小説津軽から、
“金木を過ぎ、芦野公園といふ踏切番の小屋くらゐの小さい駅に着いて、金木の町長が東京からの帰りに上野で芦野公園の切符を求め、そんな駅は無いと言はれ憤然として、津軽鉄道の芦野公園を知らんかと言ひ、駅員に三十分も調べさせ、たうとう芦野公園の切符をせしめたといふ昔の逸事を思ひ出し、窓から首を出してその小さい駅を見ると、いましも久留米絣の着物に同じ布地のモンペをはいた若い娘さんが、大きい風呂敷包みを二つ両手にさげて切符を口に咥へたまま改札口に走つて来て、眼を軽くつぶつて改札の美少年の駅員に顔をそつと差し出し、美少年も心得て、その真白い歯列の間にはさまれてある赤い切符に、まるで熟練の歯科医が前歯を抜くやうな手つきで、器用にぱちんと鋏を入れた。少女も美少年も、ちつとも笑はぬ。当り前の事のやうに平然としてゐる。少女が汽車に乗つたとたんに、ごとんと発車だ。まるで、機関手がその娘さんの乗るのを待つてゐたやうに思はれた。
こんなのどかな駅は、全国にもあまり類例が無いに違ひない。金木町長は、こんどまた上野駅で、もつと大声で、芦野公園と叫んでもいいと思つた。”

この改札口は当時の駅舎である今の喫茶店“駅舎”の何処の場所にあったのでしょうかね。
現駅舎の改札口も、太宰の描写を連想するに無理のない様子ですが。

客車をホームに降りて、数歩歩いて階段を数段下りれば改札口であり、改札を抜けると直ぐに公園敷地といった
この改札口に、小説津軽のあのきれいな描写が重なってしまいます。
そして、今朝の岩木山です。


芦野公園駅、小説津軽で、太宰がタケの居る小泊へ向かう途中で、とても印象的な場面があります。
小説津軽から、
“金木を過ぎ、芦野公園といふ踏切番の小屋くらゐの小さい駅に着いて、金木の町長が東京からの帰りに上野で芦野公園の切符を求め、そんな駅は無いと言はれ憤然として、津軽鉄道の芦野公園を知らんかと言ひ、駅員に三十分も調べさせ、たうとう芦野公園の切符をせしめたといふ昔の逸事を思ひ出し、窓から首を出してその小さい駅を見ると、いましも久留米絣の着物に同じ布地のモンペをはいた若い娘さんが、大きい風呂敷包みを二つ両手にさげて切符を口に咥へたまま改札口に走つて来て、眼を軽くつぶつて改札の美少年の駅員に顔をそつと差し出し、美少年も心得て、その真白い歯列の間にはさまれてある赤い切符に、まるで熟練の歯科医が前歯を抜くやうな手つきで、器用にぱちんと鋏を入れた。少女も美少年も、ちつとも笑はぬ。当り前の事のやうに平然としてゐる。少女が汽車に乗つたとたんに、ごとんと発車だ。まるで、機関手がその娘さんの乗るのを待つてゐたやうに思はれた。
こんなのどかな駅は、全国にもあまり類例が無いに違ひない。金木町長は、こんどまた上野駅で、もつと大声で、芦野公園と叫んでもいいと思つた。”

この改札口は当時の駅舎である今の喫茶店“駅舎”の何処の場所にあったのでしょうかね。
現駅舎の改札口も、太宰の描写を連想するに無理のない様子ですが。

客車をホームに降りて、数歩歩いて階段を数段下りれば改札口であり、改札を抜けると直ぐに公園敷地といった
この改札口に、小説津軽のあのきれいな描写が重なってしまいます。
そして、今朝の岩木山です。

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