朗読会の続き。
朗読会2013_600
“貨幣”の朗読の余韻をまだ感じます。

“貨幣”を選択したのは白川さんの希望だったようです。
朗読会2013 (2)_600
会場に掛けられた貨幣パネルに添えられた言葉、
朗読会2013 (3)_600

そして、「葉桜と魔笛」で感動した原さんの“素語り”での“貨幣”でした。

作品は、貨幣から見た人間が描かれています。そして貨幣は当然女性ですね。原さん曰く「わたし」。
「異国語においては、名詞にそれぞれ男女の性別あり。然して、貨幣を女性名詞とす。」
から始まります。
この作品、出だしはとても身近な作品のようにも感じていましたが、原さんの素語りにどんどん入っていくと、とても大きな舞台での語りのような、スケールの大きい舞台を見ているような気分に感じます。

貨幣が次々と持ち主が変わっていくことで、その“わたし”が太宰なんですね。
『この世の中のひとりでも不幸な人のいる限り、自分も幸福にはなれないと思う事こそ、本当の人間らしい感情でしょうに、自分だけ、あるいは自分の家だけの束の間の安楽を得るために、隣人を罵り、あざむき、押し倒し、(いいえ、あなただって、いちどはそれをなさいました。無意識でなさって、ご自身それに気がつかないなんてのは、さらに怒るべき事です。恥じて下さい。人間ならば恥じて下さい。恥じるというのは人間だけにある感情ですから)まるでもう地獄の亡者がつかみ合いの喧嘩をしているような滑稽で悲惨な図ばかり見せつけられてまいりました。けれども、私はこのように下等な使い走りの生活においても、いちどや二度は、ああ、生れて来てよかったと思ったこともないわけではございませんでした。いまはもうこのように疲れ切って、自分がどこにいるのやら、それさえ見当がつかなくなってしまったほど、まるで、もうろくの形ですが、それでもいまもって忘れられぬほのかに楽しい思い出もあるのです。』

昨日は木下巽さんもみえていました。この朗読会は初だそうです。
オルテンシアでのコンサートで“葉桜と魔笛”の素語りを聞いていて、「“葉桜と魔笛”は分かるが、“貨幣”を素語り出来るのは凄い」と絶賛でした。
原さんとしばらく歓談していましたね。そのふたりの姿がとても美しく綺麗に感じました。
朗読会2013 (5)_600
また、この作品と“人間失格”とのつながりも木下さんは大事な部分のようなことを話していましたね。

とにかく、今年も開催してくださった白川さんと原さんに感謝、今年も何だか特別な6月19日となったように感じます。
原さん、本当に素敵でしたね。最高の朗読会でした。
朗読会2013 (7)_600
そして、原さんのお着物は、太宰の写真で有名なバー・ルパンのおかみさんからの贈り物だそうです。


そして、今朝岩木山は望めませんでした。
Secret

TrackBackURL
→http://akatarou.jp/tb.php/2066-126ca11c